閉じる
  • 2022.10.20
  • 公開日:2022.10.19

クリエイティブの最前線基地 〜Graphium House 高田馬場〜

東京にはさまざまな夢を追って上京する若者が多くいます。しかし、一人で夢を追うことは時には孤独なものです。特定非営利活動法人LEGIKAは、同じ夢をもつ若者を支援するシェアハウスの運営を通して、このようなクリエイターの課題解決に取り組んでいます。

そこで今回は、あらゆる業種のクリエイターが集まるGraphium House 高田馬場をご紹介します。

クリエイターの支援✕シェアハウスを始めようと思ったきっかけや背景について、特定非営利活動法人LEGIKAの菊池さんにお話をお伺いしました。

個人の課題解決が社会課題の解決につながる

まず、クリエイター向けのシェアハウス運営を始めようと思ったきっかけから聞かせてください。

菊池さん:LEGIKAは、シェアハウスでの生活を通じてプロ漫画家を目指す育成事業「トキワ荘プロジェクト」を16年以上運営しており、プロ漫画家を130名以上輩出するという実績を上げています。また、チェルシーハウスというシェア型学生寮を8年間運営し、自主性の高い学生寮運営者として、ある程度知られる存在になっていました。これらの運営経験を生かし一般のクリエイターや、クリエイティブな要素を重視するビジネスパーソンにも裾野を広げようと考え、Graphium House プロジェクトをスタートしました。

LEGIKAの集大成として展開されたんですね!

菊池さん:そうですね。漫画家もクリエイターの一種ですが、漫画家だけでなくより多くの業種のクリエイターが集まるシェアハウスを作ることで、漫画家さんにとっては作品により深みが出るような経験ができるようになると思います。

他の業種のクリエイターやビジネスパーソンにとっても、普段関わることのない漫画家さんの独創的な思考や発想力は、お互いに刺激になり、自身の仕事に生きるような発見があるのではないかと思い、Graphium Houseができました。

確かに違う業種の方と触れ合う機会って一人暮らしをしているとなかなかないですよね! ちなみにクリエイターの支援を行おうと思った理由はあるのでしょうか?

菊池さん:LEGIKAには、個人や企業などの個々の課題を解決しながら、同時にすべての人にとっての課題解決につなげるというミッションがあります。同じ課題を抱えている人が集まり、共に学び・教え合う場を作ることで課題解決につながると思いGraphium Houseプロジェクトを始めました。

漫画家さんの課題として集中できる場所がない、同じ目標を目指す仲間がいない、都内の家賃が高いというのはよく聞く話しです。特に地方にお住まいの方ですと、知り合いなど頼れる人が近くおらず、伝手もない状態での上京はハードルが高いようです。

他業種のクリエイターも、会社内では日常業務に追われクリエイティブな話をフランクにする機会がない方も多いと思います。なので、そういった場を日常生活の中に作ることで新しい気づきを得る機会を多く作り、社会で活躍するクリエイターを輩出したいという思いから、クリエイター支援を行うことになりました。

確かにクリエイターさんたちの居場所ってなかなか難しいですよね。

菊池さん:そうですね、自分の仕事に集中すればするほど新しいインプットの時間や機会が少なくなってしまうので、生活の場で日常的に刺激を受けたりインプットができる環境は貴重だと思います。

クリエイティブになれる環境を整備

クリエイター支援を行うシェアハウスを運営するにあたってこだわったポイントを聞かせてください。

菊池さん:まず1つ目は、高速大容量・同時接続が多数可能なインターネット環境です。Graphium House をスタートしたのは、コロナが流行する前です。しかしながら、リモートワークとか家で仕事をし、住まいの中でコラボレーションをしていくワークスタイルを想定しました。そのため、住まいの水準を超えた高速大容量の通信バックボーンを備えており、さらに多くの端末を接続可能なオフィス向けのWi-Fi機器を設置しています。この点が大きな強みです。普通のシェアハウスでは取り入れていないようなシステムを使ってネット環境を入れているので、オフィスで仕事をするような安心感を持ってお仕事をしていただけるかなと思います。

そして2つ目が、漫画家さんやイラストレーターさん向けにはなりますが、ワコムさんに協力していただいて絵を書いたり画像編集ができる大型の液晶ペンタブレットをハウス内に常設している点です。自分で買うというよりはまずは試してみたいという人が多いので、無料で自由に使ってもらえるように設置しています。

最後が防音室の存在です。金管楽器や打楽器が使えるレベルではないのですが、一定レベルの防音性を備えており、設備内には固定回線のポートを備え、換気設備も整えています。そのため、Web会議をする際にご利用いただいたり、音楽をする方にご利用いただいています。動画配信にもご利用が可能です。趣味で音楽をやっている方の利用が現状は多いですね!

家で作業をする方にとって環境ってすごく重要になるので、そこがしっかりと整っているのは嬉しいですね!他にも入居者特典がいくつかあると思うのですが、詳しく教えていただけますか?

菊池さん:はい。1つ目が、事業を営む方への特典として出している法人登記が無料でできるというものです。提携先となる渋谷区内のスペースをご利用いただく形で提供しています。

2つ目が、事業アドバイザーへの相談ができるというものです。事業アドバイザーには、大手コンサルティングファームでパートナーを歴任された方や、キャリア・コンサルタントの資格を持つ経営者がいます。経営相談、キャリア相談など、さまざまな問題や疑問について対応いたします。

居住者の方には、ハウス内に設置しているアドバイザー制度の張り紙からQRコードを読み込んでいただき、相談したい内容や悩んでいる内容などの質問に答えてもらえれば、現地またはオンラインで無料相談ができるようになっています。

ハウス内以外でフランクに相談できる専門家がいるというのもGraphium Houseの強みの1つですね!

そして最後が、シェアオフィスをご紹介する仕組みです。スモールビジネスを手がけているクリエイターさんについて、自宅だけでなく新たにオフィスを設けたくなる場面もきっとあるものと考えています。そこでそのようなステージに入ったクリエイターさんに対して、提携するシェアオフィスをご紹介する仕組みを用意しています。

思考の枠組みにとらわれない発想力が生まれる交流の場

実際にGraphium Houseにはどのような方が多いのしょうか?

菊池さん:個人事業主でいうと漫画家さんやイラストレーターさんが多いですが、過去には営業を専門にやっている方もいらっしゃいました。一般的な言葉でいうところの「クリエイター」というくくりだけにすると、クリエイティブな発想を生かしながらビジネスの展開をしている多くのビジネスパーソンとの交流機会を失いかねません。そこで、クリエイティブな要素をキーとする勉強あるいは仕事をしていることを条件として、いろんな職業に就かれている方にご入居いただけるようにしています。

どんな業種でもクリエイティブな発想が求められることが多いので、違った業種の人が集まることでいろんな刺激を得られそうですね!入居者さん同士の交流や物件の雰囲気についても聞かせてください!

菊池さん:LEGIKAが行っているもう1つの制度に、入居者主体で自由にイベントを開くことができるという制度があります。

Graphium House 高田馬場は、建物の構造上内階段がなく外階段だけなのでイベントなどの機会がなければフロアごとの交流が生まれづらい難点があります。そこでこの制度を活用し、フロアの垣根なく交流してもらえるようにしています。

実際に、新しい入居者さんが入ってきたときには歓迎会が行われるなど、入居者同士が主体的に交流を行っています。

また、各フロアにメインの共有スペースがあるので、普段は各フロアごとで入居者さんが交流されていますね!

いいですね! 今後はどのような方に入居していただきたいですか?

菊池さん:必ずしも肩書が「クリエイター」である必要はありません。趣味で絵を書くことが好きで今後仕事にしていきたい方や、ビジネスの中でクリエイティビティを必要とする方など、将来を見据えてクリエイティビティを積極的に伸ばしていきたいと思う方に入居していただきたいですね!

クリエイティブな人であれば肩書にはとらわれないということですね! 本日は貴重なお話をしていただき、ありがとうございました。

関連記事

住環境をより軽くする『コリビング』という暮らし方に込める思いとは #運営会社インタビュー①

みなさんは『コリビング』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?コリビングとは、従来のシェアハウスとワークスペースを合わせた『住職一体型施設』のこと...

家族でも友達でもない、それでいて家族のような友達のようなコミュニティを作りたい #運営会社インタビュ...

「シェアハウスって実際に交流できるの?」そんな風に思われたことのある方も多いのではないでしょうか? シェアハウスという暮らし方が広がりつつある今、数...

おすすめ記事