空き家をシェアハウスにするメリットは?注意点や成功事例を紹介

日本全国で増え続ける空き家は、所有者にとって管理や維持費の負担が大きな課題となっています。その一方で、若者や単身世帯を中心に「シェアハウス」という住まい方が注目を集めており、空き家を活用する方法として人気が高まっています。
空き家をシェアハウスにすれば、遊休不動産を有効利用できるだけでなく、安定的な収益や地域活性化にもつながる可能性があります。しかし、運営するにあたっては改修コストや入居者同士のトラブルといったリスクも存在します。
本記事では、空き家をシェアハウスにするメリットや注意点、さらに実際の成功事例を交えながら、オーナーにとって有益な選択肢となるかを詳しく解説します。
目次
空き家をシェアハウスにするメリット

まずは、空き家をシェアハウスにするメリットについて紹介します。
地域活性化にも繋がる
空き家をシェアハウスとして活用することは、単なる不動産の再利用にとどまらず、地域全体の活性化にも貢献します。長らく放置されていた空き家に新たな住人が集まることで、周辺の治安や景観が改善され、商店や飲食店などの地域経済にも良い影響を与える可能性があります。
特に、若い世代や外国人留学生が入居することで多様な人々が行き交う環境が生まれ、地域コミュニティに新しい交流が育まれることも期待できるでしょう。人口減少が進むエリアでは、空き家シェアハウスが「まちのにぎわい」を取り戻すきっかけになります。
初期投資を抑えながら収益化できる
空き家を賃貸として活用する場合、全面的なリノベーションや新築に比べて、シェアハウスは比較的少ない初期投資で収益化を目指せる点が大きな魅力です。基本的な設備や間取りを生かしつつ、共有スペースを整備することで、低コストで入居者を受け入れられるケースが多くあります。
さらに、複数人から家賃収入を得られるため空室リスクを分散でき、安定した収益に繋がるのもメリットです。初期費用を抑えながら資産を活用したいオーナーにとって、シェアハウスは効率的な運用手段となるでしょう。
補助金や助成制度が活用できる
自治体や国では、空き家対策や地域活性化の一環として補助金や助成制度を設けている場合があります。たとえば、リフォーム費用の一部を補助してもらえたり、耐震・断熱改修にかかる費用を軽減できたりと、オーナーの経済的な負担を抑えながら空き家を再生することが可能です。
こうした制度を上手に活用すれば、初期投資を抑えつつ、魅力的なシェアハウスを実現できます。制度の内容は地域ごとに異なるため、運営を始める前に自治体に確認しておくことが成功への大きな一歩となります。
シェアハウスを運営するときの注意点

ここからは、シェアハウスを運営するときの注意点について紹介します。
住民同士のトラブルに発展しやすい
シェアハウスは共同生活の性質上、住民同士の人間関係が良好でなければトラブルに発展しやすいという特徴があります。生活リズムの違いや掃除・ごみ出しのルールをめぐる不満、共有スペースの使い方など、小さな行き違いがストレスになりやすいです。
トラブルが放置されると、退去や空室リスクにもつながるため、オーナーや管理者が定期的にコミュニケーションを取り、ルールを明確にしておくことが必要になるでしょう。円滑な共同生活を維持する工夫が、シェアハウス運営の安定に直結します。
空き家よりも管理の手間がかかる
空き家をそのまま放置する場合と比べ、シェアハウスとして運営するには日々の管理や対応が欠かせません。共用部分の清掃や備品の補充、入居者からの要望やクレームへの対応など、オーナーが積極的に関わる必要があります。
また、入退去が頻繁に発生するため、常に新しい入居者募集や契約対応が求められます。空き家を収益化できるという点では魅力的ですが、放置しておける不動産ではなく「運営する事業」として向き合う覚悟が必要です。
建築基準法に準拠した運営が必要
シェアハウスを運営する際には、建築基準法や消防法といった法的な基準を満たすことが求められます。入居者が複数いるため、一戸建てや空き家をそのまま利用すると避難経路や防火設備が不足しているケースもあります。
必要に応じて耐震工事や防火対策を施さなければならず、これを怠ると行政からの指導や運営停止のリスクを招きかねません。法律に準拠した安全な住環境を整えることは、入居者の安心を守るだけでなく、オーナー自身のリスク回避にもつながります。
空き家のシェアハウス運営を成功させるコツ

ここからは、空き家のシェアハウス運営を成功させるコツについて紹介します。
コンセプトを設定する
シェアハウスの運営で成功するためには、まず明確なコンセプトを設定することが欠かせません。ただ単に空き家を複数人で住めるように改修するだけでは、入居者にとって魅力のある物件にはなりにくいです。
例えば「学生専用」「英語が飛び交う国際交流型」「フィットネスに特化」など、ターゲット層を絞ったテーマを設けることで、他の物件との差別化ができます。明確なコンセプトがあると、住人同士の共通点が増えやすく、コミュニティも自然に形成されやすいため、長期的に安定した運営につながるのです。
設備を充実させる
シェアハウスの魅力は家賃の安さだけでなく、共有スペースの快適さにもあります。そのため、空き家をシェアハウスとして改修する際にはキッチンやリビング、浴室などの設備をできるだけ充実させることが重要です。
広々とした共用リビングや清潔な水回り、安定したインターネット環境などが整っていれば、入居希望者の満足度は大きく高まります。
また、家具や家電を最初から備え付けておけば初期費用を抑えたい入居者にとって魅力となり、集客力もアップします。快適に暮らせる環境を整えることが、シェアハウスの価値を高めるカギになります。
必要に応じて管理を委託する
シェアハウスの運営は空き家を貸すだけでなく、日々の管理や入居者対応が求められるため、オーナーにとって負担が大きくなる場合があります。特に入退去の手続きや住民同士のトラブル対応、共用部分の清掃などは、時間や労力を要する業務です。
そのため、自分で全てをこなすのが難しいと感じた場合は、専門の管理会社に委託するのも有効な手段と言えるでしょう。プロに任せることで入居者対応がスムーズになり、トラブルも未然に防ぎやすくなるため、安定した運営を実現しやすくなります。
参考:【シェアハウス経営は難しい?】メリット・デメリットや運営の基礎知識を解説|GMO不動産査定
空き家をシェアハウスに活用した成功例

ここからは、空き家をシェアハウスに活用した成功例について紹介します。
学生専用シェアハウス「NKビル」
学生をターゲットにした「NKビル」のシェアハウスは、空き家を有効活用した代表的な成功例の1つです。もともと空室が目立っていた建物を学生専用として改修したことで、安価な家賃と通学の利便性を求める若者に人気が集まりました。
学生同士の交流を重視したコミュニティスペースが整えられており、住みやすさだけでなく学びの場としての価値も提供しています。明確なターゲット設定とニーズに応じた設備投資が功を奏し、空き家再生と安定収益を両立させています。
筋トレシェアハウス東池袋
ユニークな事例として注目されているのが「筋トレシェアハウス東池袋」です。物件内にはトレーニング器具が用意されており、パーソナルトレーナーが付くのが最大の特徴です。
コンセプトが明確であるため、入居者同士の交流も活発で、生活の中で自然にトレーニングを楽しめる環境が整っています。このように特定の趣味やライフスタイルに特化したシェアハウスは強い訴求力を持ち、空き家を他にはない付加価値のある物件へと変貌させる好例となっています。
空き家をシェアハウスとして有効活用しよう
空き家をシェアハウスとして活用することは、オーナーにとって収益化の手段となるだけでなく、地域社会に新しい価値をもたらす取り組みでもあります。成功のポイントは、ターゲットを明確にしたコンセプトづくりと、入居者が快適に暮らせる環境整備、そして必要に応じた専門家の活用です。
実際の成功事例が示すように、空き家は工夫次第で魅力的な住まいへと生まれ変わります。人口減少や空き家問題が深刻化する今だからこそ、シェアハウスという形で資産を有効に活用し、持続的な価値を創出していくことが求められています。




